金属アレルギーがあっても矯正治療はできるの?

金属アレルギーがあっても矯正治療はできる?

最近、「金属アレルギーがあるのですが、矯正はできますか?」というご相談を受けることが増えています。
結論から言うと、ほとんどの方は装置を工夫すれば矯正治療を行うことができます
ただし、使用する装置の種類や症例の難易度によって、慎重な選択が必要になります。

🔹金属アレルギーとは?

金属アレルギーは、金属イオンが体内に取り込まれた際に、免疫が「異物」と判断して炎症を起こす反応です。
ピアスやネックレスで肌がかぶれる方は、ニッケルなどの金属に反応している可能性があります。

矯正装置にも、ブラケット・ワイヤー・バンドなど、複数の金属が使われています。
そのため、体質によってはお口の中で反応を起こすこともあります。

🔹マウスピース矯正なら金属を使わない

金属アレルギーがある方にとって理想的なのは、マウスピース矯正です。
装置がプラスチック素材でできているため、金属に触れる心配がありません。

ただし、マウスピース矯正だけで治せるのは、歯の移動量が小さいケースが中心です。
抜歯を伴う歯の移動量の大きい症例などでは、ワイヤー矯正(ブラケット)などの装置を併用する必要があることが多くなります。

🔹チタン・セラミック装置という選択肢

金属アレルギーに対応した装置として、次のようなものがあります。

  • チタンブラケット
    チタンはアレルギー反応が極めて起こりにくい金属で、インプラントにも使われています。
    アレルギーが出る人は極わずかで、最も安全性が高い金属です。
  • セラミックブラケット
    金属を含まないため、金属アレルギーの心配がありません。
    前歯や小臼歯にはセラミックブラケットを使用することが可能ですので金属アレルギーを回避できます。

🔹ニッケルアレルギーでも必ずしも反応が起こるとはとは限らない

金属アレルギーの中でも、最も多いとされるのがニッケルを原因とするアレルギーです。
当院で使用するブラケットやバンドでも3〜10%程度のニッケルを含有しています。

ただし1割以下のニッケル含有量でニッケルアレルギーの方に全てに反応が出るわけではありません。

むしろ反応が出ないことの方が多いと考えられます。

🔹実際の判断方法:短期間の試装着

皮膚科でのパッチテストは原因金属を特定するのに有用ですが、
矯正治療の装置選択にそのまま当てはまるわけではありません。

なぜなら、矯正装置は複数の金属が合金として使われており
理論上の成分と実際の反応が一致しないことがあるからです。

そのため現実的な対応として当院では、
使用予定装置を短期間(例:3日間)だけ装着して、お口の中で反応が出ないか確認する方法を取り入れています。

赤みや腫れ、かゆみなどの症状が出なければ、その材料を治療に使用していきます。
もし反応が出た場合は、材質を変更(チタンやセラミックなど)して再試装着を行います。

ブラケットの反応を確認した後はワイヤーでも同様に行います。

🔹当院の考え方

「すべての物質はアレルギーを起こす可能性がある」(樹脂やチタン、ゴールドでさえも)
だからこそ、反応の出方を見ながら慎重に進めることが大切です。

皮膚科などのパッチテストでは全ての合金の金属アレルギーをチェックすることは現実的に困難なので、
実際にブラケットの試装着・経過観察を通して、最も安全で快適な装置を見つけていきます。

🔹まとめ

金属アレルギーがある方でも、
装置を工夫すれば矯正治療は十分に可能です。

  1. マウスピース矯正が可能なケースなら金属アレルギーは問題ありません
  2. 通常の装置の使用が難しいようであれば、チタン・セラミックの装置を選択します
  3. 短期間の試装着で実際の反応を確認します

金属アレルギーの方でも、安全に治療を進められるように、
一人ひとりの体質と症例に合わせて装置を選択して矯正治療を行なっています。

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