裏側矯正と表側矯正の違いについて
裏側矯正と表側矯正の違いについて
矯正治療を始めるにあたり、もっとも迷いやすいのが「裏側矯正」と「表側矯正」の選択です。ここでは、それぞれの特徴を分かりやすくまとめました。

1. 見た目(審美性)
- 裏側矯正(リンガル矯正)
装置が歯の裏側につくため、外からはほとんど見えません。営業職・接客業・芸能関係の方など、人前に出る機会が多い方に人気です。 - 表側矯正(ラビアル矯正)
装置は外側につくため目立ちやすいですが、最近は白や透明のブラケットもあり、昔ほど目立たなくなっています。
2. 違和感と快適さ
- 表側矯正
唇や頬に口内炎ができやすい一方、舌への違和感や発音の影響はほとんどありません。 - 裏側矯正
舌に口内炎ができやすく、特に下の歯は違和感が強めです。発音にも一時的に影響しますが、通常2〜4週間で慣れていきます。※ただし、声優など最高水準の発音精度を求められる職業では非推奨です。 - ハーフリンガル(上は裏側・下は表側)という選択肢もあり、見た目と快適さのバランスをとることができます。
3. 虫歯・歯周病リスク
- 表側矯正
ブラケット周囲に汚れがたまりやすく、虫歯のリスクがやや高めです。 - 裏側矯正
歯磨きが難しいため、歯肉炎や歯周病リスクが高い傾向に。ただし裏側は唾液で洗われやすく、むしろ虫歯は少ないこともあります。
4. 費用の違い
裏側矯正は表側の1.5倍前後の費用がかかることが一般的です。
理由は、模型作成や技工の工程が増えること、調整や装着に時間がかかることなどが挙げられます。

↑セットアップ模型(矯正治療の最終的な歯並びをシュミレーションした模型)
5. 通院時間と工程
- 裏側矯正
工程が複雑で、毎回の調整にも時間がかかります。 - 表側矯正
シンプルで診療時間が短く済みやすいです。
6. 歯のダメージ
矯正装置をつける際には、歯の表面を処理するために顕微鏡で確認すると微細な傷がついています。
裏側矯正ではそれが「裏側」に限定されるため、ダメージが歯の裏側に限定されるというメリットがあります。
7. 歯の動き方(メカニクス)
表側と裏側では、歯にかかる力の方向が異なるため、動き方に差が出ます。
症例によっては表側の方が適している場合もあるため、専門医の判断が重要です。
8. 向いている人
- 裏側矯正が向く人
・治療中の見た目を最重視する人
・歯の表面に微細な傷をつけたくない人 - 表側矯正が向く人
・費用を抑えたい人
・発音や快適さを優先したい人 - ハーフリンガルが向く人
・上の歯は目立たせたくないが、下の違和感は避けたい人
まとめ
- 裏側矯正:見た目を重視したい人向け。ただし費用の負担や初期の違和感が大きめ。
- 表側矯正:費用と快適さを優先したい人向け。
- 虫歯リスクは表側の方が高く、歯周病リスクは裏側の方が高い傾向。
- どちらを選ぶかは「自分が何を一番大事にしたいか」と「担当医の得意分野」によって決まります。
見た目を優先するなら裏側、快適さや費用を優先するなら表側。
あなたに合った方法を一緒に考えていきましょう。
監修医師
萩田 洋児
略歴
- 1995年
- 福岡歯科大学 卒業
- 1995年
- 歯科医師免許取得
- 1995年4月~1998年3月
- 広島大学歯学部付属病院歯科矯正科に勤務
- 1998年4月~2007年8月
- 都内の矯正歯科専門医院に勤務
- 2007年11月
- 恵比寿エスト矯正歯科開業
- 2018年11月〜
- 日本舌側矯正歯科学会理事
取得資格
- 日本矯正歯科学会認定医
- 日本成人矯正歯科学会認定医
- 世界舌側矯正歯科学会認定医 (WORLD SOCIETY OF LINGUAL ORTHODONTICS Active Member)
メッセージ
「見た目の美しさと機能性の両立」をコンセプトに、患者さん一人ひとりに最適な矯正治療を行っています。歯並びを整えるだけでなく、正しい噛み合わせを再構築し、長期的に自分の歯で健康に過ごせる口腔環境づくりを重視しています。顔全体のバランスや笑顔の印象にも配慮し、裏側矯正(リンガル矯正)やマウスピース型矯正など、ライフスタイルに合わせた治療方法を提案。治療後の後戻り防止やメインテナンスにも力を入れ、“美しく噛める歯並び”を長く保てるようサポートしています。






