矯正治療で「人中が伸びる」「ほうれい線ができる」って本当?
矯正治療で「人中が伸びる」「ほうれい線ができる」って本当?
最近、矯正相談に来られる患者さんから
「矯正すると人中(鼻の下)が伸びるって聞いたのですが…」
「ほうれい線ができやすくなるって本当ですか?」
といったご質問をいただくことが増えています。
インターネットの掲示板や口コミサイトでよく目にする話題ですが、実際はどうなのでしょうか?
実際に起こりうることはあるの?
当院での経験からお伝えすると、
矯正治療が原因で人中が伸びたり、ほうれい線が深くなったと患者さんから指摘を受けたことはありません。
ただし、矯正の方法によっては理論上そう見えてしまうケースがあり得ます。
特に抜歯をして前歯を大きく下げる治療では注意が必要です。
どうしてそう見えるの?
歯を「強い力で一気に」動かすと、歯の根っこ(歯根)がしっかり動かず、歯の頭(歯冠)だけが内側に倒れてしまうことがあります。
〜歯の動き〜
[赤→抜歯ケースの多くで前歯を下げる時に動かしたい理想的な動き]
・歯の頭(歯冠)だけでなく歯根も動く(歯根も動かすので移動に時間はかかる)
・前歯の傾斜がほぼ理想的に(内側に倒れ込まない)
・上の前歯の歯茎のラインはあまり変わらない
赤のような動きをすると人中が伸びた印象や、ガミースマイル、ほうれい線が強調されるというリスクが軽減されます。
[青→強い力で一気に歯を動かした時]
力任せに前歯を下げると
↓
・歯の頭(歯冠)がメインで歯根はあまり動かない(移動は早い)
・前歯が伸び出して内側(舌側)に倒れ込む
・歯茎のラインが下がる(=ガミースマイル)
・前歯が下に下がる→臼歯も挺出→鼻の下から顎までの距離が長く見える(=人中が伸びた印象)
(・前歯が下がりすぎると、口元のボリュームが減る → ほうれい線が強調される)
当院のこだわり
当院では、歯冠だけでなく歯根までしっかり動かすことを大切にしています。
そのためには時間が少しかかりますが、その分、見た目にも機能にも安心できる仕上がりを目指せます。
さらに、歯の位置は 「Eライン」だけでなく、鼻・顎・唇の厚みなど顔全体のバランス を見て判断します。
- 中高生 → 代謝が良いので歯が動きやすく、1年〜1年半程度で終わることも。
- 成人 → 抜歯矯正の場合は2年〜かけて丁寧に進めます。
急がず、少し時間をかけてでも「下げすぎ」などのリスクを防ぎ、自然で美しい口元をゴールとしています。
まとめ
- 矯正で「人中が伸びる」「ほうれい線ができる」という心配は、正しい治療を行えばほとんど起きません。
- 問題が起きるとすれば「歯を強い力で歯冠だけ早く動かしすぎたとき」。
- 当院では、歯根ごと丁寧に動かす治療で美容的な副作用を防いでいます。
「矯正したら口元がどう変わるのか不安…」という方は、ぜひカウンセリングで一度ご相談くださいね。